変圧器の中でも、特に利用されることが多いモールド変圧器と油入変圧器。それぞれに長所と短所があるため、導入の際は設置条件を元に選定する必要があります。今回はそれぞれの特長をご紹介します。変圧器を導入する際、選定のご参考にしていただければと思います。
モールド変圧器
まず最初にご紹介するのが、モールド変圧器です。変圧器内部の巻線に、樹脂を含浸モールドしているためにこう呼ばれています。油入変圧器と異なり、油(絶縁油)を使用していないことが特長です。
メリット①安全性が高い!
油入変圧器では、内部に絶縁・冷却用の油を使用しているため、発火事故が発生してしまう危険性がありますが、モールド変圧器の場合は巻線を樹脂で含浸モールドしてあるため、温度上昇に対する安全性が非常に高くなっています。そのため、病院や地下鉄などの公共施設に設置されるケースが多くなっています
メリット②サイズが小さい!
油入り変圧器などと比較すると、サイズが小さい点も魅力的です。その分重さも軽くなるので、導入先の条件も柔軟になり、搬入時の作業や、導入後の点検も容易になります。
メリット③湿気や粉塵に強い!
湿度や粉塵に対する耐久性が高い点も強みです。特に耐湿性能に関しては、高温多湿の日本での運用において、強い味方となります。
メリットまとめ…
・安全性(不燃性)が高い!
・サイズが抑えられる!
・湿度・粉塵に強い!
デメリット①価格が高い
続いては、モールド変圧器のデメリットをご紹介します。
まずは、価格の面。
あくまで油入変圧器と比較した場合ですが、モールド変圧器は同程度の容量だと高額になってしまいます。内部構造の違いにより、製造コストが発生してしまうことが要因です。
デメリット②使用には注意が必要
安全性が高いモールド変圧器ですが、一方で注意が必要な点もあります。
まず、モールド変圧器はコイルが露出しているため、感電の危険性が高くなっています。その分、基本的にモールド変圧器は屋外での使用に適していません。屋外用のキュービクルに収納することで対応させるケースもありますが、その際も雨水や直射日光などには注意が必要です。また短期間の過負荷にも弱く、その点は油入変圧器の方がはるかに高い性能を持っています。
デメリット③駆動音が大きい
油入変圧器と比較すると、騒音や振動が大きくなりますので、対策が必要になります。工場などの設置条件によっては、作業員の安全対策にも影響してしまいますので、設置には注意が必要です。
デメリットまとめ…
・価格が高い
・設置条件など、使用時の注意点が多い
・騒音や振動が大きい
油入変圧器
続いてご紹介するのが、油入変圧器です。
変圧器の中でも最も多くのケースで使用されているタイプになります。
メリット①価格が安い!
油入変圧器は、効率的な内部構造が特長です。変圧器の内部を絶縁油で満たすことで、放熱と絶縁を両立した内部構造になっています。これにより、安全性能を確保しながらも、製造コストを抑えています。
メリット②設置条件が柔軟!
油入変圧器は金属製の外装を使用しているため、屋外でも使用できます。また自冷却方式の場合、変圧器内部に絶縁油を満たしていることから、騒音や振動も抑えることができます。空冷式の場合でも、放熱フィンの騒音はそこまで大きくなりません。騒音や振動に注意しなくてはならない設置条件では、高い性能を発揮します。
メリット③耐負荷性能が高い!
油入変圧器はモールド変圧器に比べ、過負荷運転に強い特長があります。使用している絶縁材の材料によってレベルは異なりますが、それでもモールド変圧器と比べ、圧倒的な耐負荷性能を持っています。
メリットまとめ
・とにかく安価!
・様々な設置条件に対応できる
・過負荷運転に強い
デメリット①火災に注意
油入変圧器は文字通り内部に油を満たした構造です。絶縁油は可燃性であることから、高温の条件下では発火してしまう可能性があります。自治体の条例によっては消火設備の設置義務が発生する場合もありますので、設置に関しては各種規定の確認が必要になります。
デメリット②重量面
油入変圧器は絶縁油、金属製外装、鉄芯、冷却ファン(風冷式の場合)などで構成されているため、設備が重くなってしまいます。そのため設置条件には注意が必要です。また、冷却ファンを取り付けている場合には、それを常時稼働させておくための電力が発生するほか、定期的なメンテナンスや清掃も必要になります。
デメリット③絶縁油の定期交換が必要
油入変圧器の要である絶縁油は、長期間の使用によって劣化してしまいます。使用開始時には無色透明の絶縁油は、劣化すると赤茶けた色に変色してしまいます。定期的な点検や交換を忘れないことが肝心です。
デメリットまとめ…
・火災の危険性に注意
・重量がある
・絶縁油の点検・交換が必要
まとめ
以上、モーダル変圧器と油入変圧器の特長をご紹介しました。変圧器を導入する際は、求められる防災性能、設置スペース、オペレーション性などの条件を元に考慮する必要があります。一方で、条件に合致する変圧器が中々見つからない、ということもあるでしょう。その場合は、変圧器をオーダーメイドで制作することも効果的です。私たちアジア創研産業は、海外メーカーとの直接交渉の元、お客様が求める変圧器を独自に製造・納品しています。大手企業を含む多数の実績があり、最適なエネルギー環境を実現する設備をお客様にご提供しています。変圧器を導入の際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。